竹野はる / Sunny ✎Webライター✎

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特別養子縁組で子どもを育てたい!斡旋団体を介して子どもを授かるまでの過程

 

子どもが欲しくても授からず、不妊治療を受ける夫婦は年々増加傾向です。

しかし不妊治療を受けたからといって、必ずしも妊娠できる確約はありません。治療が長期化しても止め時が分からず、心身や金銭面の負担が膨れ上がっていく人も少なくないのです。

 

一方で近年では、「特別養子縁組」で子どもを授かるケースが増えています。何らかの理由で子どもを授かれない夫婦が、妊娠以外で子どもを育てる選択肢として注目されているのです。

 

本記事では特別養子縁組で子どもを授かった経験のある筆者が、斡旋団体を介して特別養子縁組で子どもを授かる過程を紹介します。少しでも特別養子縁組に興味のある方は、参考にしてください。

 

参考:厚生労働省 「特別養子縁組制度・里親制度」啓発リーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/001043834.pdf

 

 

特別養子縁組は実親が育てられない子どものための制度

 

特別養子縁組は生みの親と一緒に暮らせない子どもと、子どもを育てたいと望む夫婦が法的に親子関係となり、子どもが生涯にわたり安定した家庭で生活を送るための制度です。生みの親とは法的な親子関係が解消され、戸籍上も育ての親の実子となります。

 

自分だけを見てくれる特定の大人の存在が必要な時期に、虐待や貧困などの理由で親と暮らせない状況の子どもはたくさんおり、ほとんどは乳児院児童養護施設で生活しているのです。施設の職員は一生懸命子どもに愛情を注いでいますが、愛着の形成には限界があります。

 

人間は特定の大人と愛着を形成し、生きる土台を作ります。しかし特定の大人の存在がない場合、生きる過程においてさまざまな障害にぶつかる可能性が高いのです。

 

特別養子縁組は子どものための制度です。子どもがほしい大人のための制度ではないのを理解する必要があります。

 

しかし親を必要とする子どもと、子どもを望む夫婦の双方が幸せになれる制度ともいえるでしょう。



参考:こども家庭庁 「特別養子縁組制度について」

https://www.cfa.go.jp/policies/shakaiteki-yougo/tokubetsu-youshi-engumi/

参考;こども家庭庁 「知っていますか 特別養子縁組制度」

https://telling.asahi.com/telling/extra/tokubetsuyoshiengumi/

参考:厚生労働省 令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 一時保護所職員に対して効果的な研修を行うための調査研究https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/column/opinion/detail/202304_mhlwkodomo_another21.pdf

 

特別養子縁組で子どもを授かる2つのパターン

 

特別養子縁組で子どもを授かる方法は、大きく分けて2つあります。民間の斡旋団体と児童相談所を介して行うパターンです。また親戚の子どもを譲り受けるなど、身内を介する例も稀にあります。

 

ここでは斡旋団体と児童相談所特別養子縁組について確認しましょう。

 

民間の斡旋団体に養親として登録する

 

民間の斡旋団体を利用するには、団体に養親として夫婦で登録する必要があります。斡旋の過程は、どの団体も大まかには同じです。

 

しかし夫婦の年齢制限や利用料・里親登録が必要か否かなど、団体の方針が自分たち夫婦に合っているかなど、異なる点も多くあります。しっかりと調べて、登録をするのがおすすめです。

 

また寄付ばかり求めてくる・お金を払ったら音信不通になったなど、トラブルに合う場合もあります。平成28年法律第110号の、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童保護等に関する法律に、定める許可を受けた団体を選ぶようにしましょう。

 

厚生労働省やこども家庭庁のホームページから簡単に確認できます。

 

参考:厚生労働省 「養子縁組あっせん事業者一覧(令和4年4月1日現在)」

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000820987.pdf

参考:こども家庭庁 「特別養子縁組制度について」

https://www.cfa.go.jp/policies/shakaiteki-yougo/tokubetsu-youshi-engumi/

 

児童相談所で里親研修を受けて里親になる

 

児童相談所で里親研修を受けて里親登録をしたのち、子どもを迎え入れるケースです。里親として登録するには、数回の講義と乳児院や養護施設での実践研修を受ける必要があります。研修の日程を調整したりレポートの提出があったりと、ハードな面もあるでしょう。

 

里親には養育里親・専門里親・親族里親・養子縁組里親の4種類があり、特別養子縁組を希望する場合は4つ目の養子縁組里親になる必要があります。

 

また民間の斡旋団体との一番の違いは、費用面でしょう。斡旋団体は程度の差はあれど、費用がかかります。

 

一方で児童相談所の場合、費用は必要ありません。家庭裁判所の審判がおり入籍し実子となるまでは、里子扱いのため里親に養育費用が支給されるのです。

 

参考:厚生労働省 「里親制度」のサイト内に掲載された特設サイト「広げよう里親の輪」

https://globe.asahi.com/globe/extra/satooyanowa/

 

 

特別養子縁組を行う民間斡旋団体を介して子ども授かるまでの流れ

 

費用負担がないため、児童相談所からの斡旋を考える夫婦は多いです。漏れなく筆者も、最初は児童相談所からの斡旋を考えていました。

 

しかし斡旋まで時間がかかる自治体も多く、時間的な問題から、民間団体を選択する夫婦もたくさんいます。

 

ここでは民間斡旋団体を利用した場合の、子どもを授かるまでの流れを確認しましょう。

 

 斡旋団体を探し、必要書類を送る

 

「条件が合っている」

「理念に共感した」

「ここにお願いしたい」

 

ホームページやパンフレットを見て自分たちに合っていると感じた団体があれば、まずは必要書類を送ります。

 

書類選考としている団体も多いため、丁寧に心を込めて作成しましょう。年齢や年収・子育て環境などを総合的に判断して、次の面談に進むかどうか判断されます。

 

また書類選考の前に説明会を行っている団体もあるため、不安のある場合は参加し詳しい話を聞くとよいでしょう。

 

養親に適しているか面接を受ける

次は面接です。実際に会場に行く場合もあれば、遠隔で行う場合もあります。書類選考では分からなかった、人柄や考えなどを詳しく聞かれます。

 

「こんなに年収があるのに、どうして預金かこれだけなのか」

「迎えた子どもに障害や病気があったらどうするか」

「ご主人は子育てを“手伝う”感覚でいるように感じられる」

 

面接ではさまざまな角度から、ありとあらゆる質問をされます。厳しい指摘をされる場合もありますが、特別養子縁組が子どものための制度だからでしょう。

 

また前項で紹介した説明会を、面接と一緒に実施する団体もあります。

 

社会的養護が必要な子ども達を受け入れるための研修に参加する

 

面接に通過したら、より詳しい研修に参加します。ここでは、養育里親のテキストを用いて研修をすすめる団体もあり、特に虐待や愛着形成の部分は重点的に行う項目です。

 

また子どもの障害や病気についてもかなり詳細に学びます。障害や病気のある子どもを迎えるのが不安な場合は、現時点で辞退するように繰り返しいわれるのです。

 

特別養子縁組は子どものための制度です。大人の都合で子どもを選ぶなどできません。ここでも養親の適正が試されるのです。

 

子どもを受け入れられる環境かどうか判断するため家庭訪問を受ける

 

子どもを受け入れられる環境かどうか判断するために、団体の職員さんが家庭訪問にきます。子どもを迎えたらどこにベビーベッドや布団を置くか、危険はないかなどを確認し、必要に応じてアドバイスをしてくるのです。

 

また沐浴の場所・ミルクの作り方など、実際に行う場所で実践指導をする場合もあるでしょう。さらに実際に子どもを迎えたときの手続きの仕方や病院の確保など、地域や子どもの状況によって異なる場合もあるため相談するとよいでしょう。

 

ここまでこれば、あとはマッチングの連絡を待つばかりです。いつ連絡がくるか分かりません。家庭訪問の翌週に連絡がきたと聞いたことがあります。ちなみに筆者は、家庭訪問の約3カ月後にマッチングの連絡がありました。

 

そのため事前に職場などにも話しておく必要があります。

 

子どもを授かる

 

「お願いしたい子どもがいます」

マッチングの連絡は何の前触れもなく、突然やってきます。電話やメールなど、連絡方法も団体によってさまざまです。

 

連絡が出産予定の数日前の場合もあれば、生まれた後の場合もあります。数日前に連絡があればよいのですが、急を要する場合もあるのです。待機の期間に入ったら、必要最低限の迎え入れる用意をしておいた方が安心でしょう。

 

子どもを迎えるのも、迎えに行くパターンと団体職員さんが連れてきてくれるパターンとあります。また受け渡しのときに実親に会える場合もあるでしょう。

 

迎えた後は家庭裁判所に申し立てを行い、監護期間を経て審判がおりれば戸籍上も実子となります。そうすれば名実ともに親子になるのです。

 

児童相談所経由で子どもを授かる場合の流れ

 

児童相談所から子どもを授かる場合も、民間団体と流れは同じです。研修を受けて里親となり待機します。待機中に連絡があれば子どもを迎えて、子育てがスタートです。

 

子育て中は児童相談所の職員が、しっかりと気にかけてくれます。また児童相談所自体が行政機関のため、役所の手続き方法なども的確にアドバイスしてくれる傾向にあります。

 

しかし児童相談所からの斡旋は、順番がなかなか回ってこなかったり、地域差があったりする現状があります。養子縁組里親の実績がない自治体もあるほどです。児童相談所での斡旋を考えている場合は、住んでいる地域の実績を確認してからにしましょう。

 

参考:平成30年度福祉行政報告例「里親数及び里親に委託されている児童数・都道府県ー指定都市ー中核都市別」政府統計の総合窓口 e-Stat からダウンロード可能)https://familybasedcare.com/wp-content/uploads/2020/12/9c7189dc2efe18a2a92b4b94344cb6c5.csv

 

特別養子縁組で子どもを迎えた筆者直伝。登録に至るためのアドバイス

 

特別養子縁組で子どもを迎えたい」

そう考える夫婦も多いでしょう。しかし斡旋民間団体は、登録基準が厳しいといわれています。なおかつ登録基準を明確に記している団体はなく、総合判断で合否を決めているのです。

 

たとえば貯金です。団体職員さんから直接聞いた話によると、若い夫婦が貯金が少ないのは分かるけれど、年配の夫婦で貯金が少ない場合は理由を確認するそうです。

 

不妊治療で使ってしまったのか」

「その貯金額は適正なのか」

「年収がこれくらいだから貯められる見込みがあるか」

これらの質問で、養親として適性をはかります。

 

また持病には注意が必要です。特に精神疾患を患っていた過去があると、非常に心配されます。産後うつがあるように、産んでいなくても産後うつの状態になる場合も充分考えられるからです。

 

元気に子育てをするためにも、心も身体も健康でいられるように努めましょう。持病があったとしても「子育てに支障なし」とした医師の診断書を提出すれば安心です。

 

 

まとめ

 

現代は不妊治療を受ける夫婦が増えており、比例して特別養子縁組が注目されています。

 

特別養子縁組を必要とする子どもは、自分だけを見てくれる特定の大人の存在がありません。特別養子縁組は子どものための制度ですが、特定の大人の存在がない子どもと子どもを望む不妊の夫婦の双方が幸せになれる制度ともいえます。

 

特別養子縁組で子どもを授かるには、いくつかのパターンがありますが民間の斡旋団体への登録は方法のひとつです。筆者が特別養子縁組で子どもを迎えたときよりも、斡旋団体の数は増えています。

 

どの団体も子どもを迎える流れは大きく変わりませんが、団体の理念や基準など異なる点も多いです。自分たちに合った団体を見つけるとよいでしょう。

 

本記事が家族を必要とする子どもと、子どもを望む夫婦の橋渡しとなり、ステキな家族の誕生のきっかけとなれば幸いです。